昨年中に、知り合いから、
医療ケア児について相談を受けていた。
今後のお子様のことを考えて研究調査中であるとのこと。
そんなお話をいただいたので、
佐久穂町教育委員会とこども課に、
後学のために話を聞かせてもらった。
話は少し離れる。
もう、何年前になるだろうか・・・
佐久長聖中学校勤務中に教員免許の更新講習を受けたことがあった。
総論的な講習の中で、最近の教育事情という講座を受けたわけだが、
その中で紹介されたのが、
法律の改正によって、
学校現場はすべての子どもに教育を受ける機会を、
保障しなければならない
という、状況になる・・・ということだった。
このときに例として示されたのが、
車椅子の子どもが学校に通う場合、
多くの子どもと同じように学校生活ができるように、
エレベーターを設置する必要があるかないか?という話だった。
理想はそのとおりだが、現実がそこに寄り添いにくいこともまた事実。
教育と政治は不可分であるべきだが、
到底不可分にならないのだ
という衝撃を受けたのを覚えている。
平成24年から一定の研修を修了した介護職員が、
学校現場で痰の吸引などの医療的ケアができるようになった。
これはもちろん、上の理念を現実として拡大する改正の1つである。
とはいっても、看護師でもない人が、
おいそれと医療行為ができるはずもなく、
またその範囲もそれほど広いわけではないから、
現実的にはなかなか厳しいものがある。
そんな中で、看護師を学校に常駐させるといった方法も、
一部では取られるようになる。
いわゆる医療的なケアが必要な場合は、
重度の障害を持っている子どもが一定数いるため、
その医療的な対応ができる養護学校に在籍するという選択を取ることが多い。
多いというより、その選択肢を取らざるを得ないことが多い。
身体の一部に支障があるからといって、
人生の選択肢が一気に狭められてしまうような社会が、
ベストだと思っている人は当然のようにいない。
でも、現実はそういうことになってしまっている。
佐久穂町では医療ケアが必要な生徒児童はいまのところはない。
全国では小中学校合わせて、
特別支援学校に通っている子どもは約6200人。
いわゆる通常の公立学校に通っている子どもは1100人ほど。
長野県の場合は特別支援学校で約100人。
公立学校は約40人となっている。
数字だけでしか判断できないが、
長野県は全国に比べて、
通常の公立学校に通学している人の割合は高めである。
佐久穂町教育委員会によると、
個別の相談についての窓口はやはり各教育委員会になるとのこと。
ただ、命の問題にもなるのでそこは慎重に合意形成をする必要がある。
現実的には非常に厳しく、そういった子どもには申し訳ない状況だという。
そんな厳しい状況の中で、
長野県で40人ほどの医療ケア児が公立学校に在籍している現実。
実際の教育行政という面から見ると、
こういった対応ができるのは、
やはり規模の大きな市のみになってしまうのだ。
実際、約40人の半分以上が長野市公立学校の在籍になっている。
その長野市教育委員会によれば、
医療的ケアをはじめて9年目となるという。
長野市は特別支援員として看護師資格者を44人雇用している。
このあたりが財政規模や学校規模により、
その対応が市町村によって大きく別れてきてしまう現実だ。
とはいえ、やはりできる範囲は限られているのが現状らしい。
先に出てきた研修修了者による介護職員についても触れておく。
長野市の場合は、看護師資格者を雇用しているが、
制度としては研修修了をした介護職員も同じ業務ができることになっている。
しかしながら現実として、長野県教育委員会によると、
長野県内の特別支援学校・公立小中学校において医療的ケアは、
すべて看護師資格者によって行われているらしい。
つまり、研修修了者でその業務を行っている人はいない。
実際、資格修了者は、私が資料を見間違えていなければ5人より少ない。
しかも、各学校長がその資格を取るように、
業務命令が出せないのが現実だという話も耳にした。
1番最初の話にもどるが、
教員免許講習で受けた衝撃が、
今回のことで再び大きな衝撃をうけることとなった。
どこまでいっても、
理想と現実には経済的かつ社会的無知という隔たりがある。
それでも、技術革新はそれを埋めていってくれると、
私は信じている。
いずれ、視力の低い子どもがメガネを掛けて通学するという障壁の低さで、
可能性のある子どもたちが社会の構造によって、
その可能性を剥ぎ取られることのない時代になればよいと思う。
そしてきっとその時代はすぐそこまで来ている感じがする。
本日、広報編集調査特別委員会活動
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